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初恋 12

Autor: 煉彩
last update Última actualización: 2026-01-13 21:19:19

 彼に連れられて、寝室に入る。

 寝室もシンプル、大きなベッドがあり、隣に本棚があるくらいだった。

 ベッドの上に私が座ったのを確認した彼は

「俺、リビングにいるので何かあったら呼んでくださいね。何も考えず、ゆっくり休んでください」

 私の頭に手をおき、髪の毛を撫でてくれた。

「おやすみなさい」

 彼が離れようとしたとき

「ありが……とう。黒崎さん」

 自然と言葉が出てきた。まだかすれている。

 彼はフッと笑い、優しい顔をし、部屋から出て行った。

 黒崎さんの香水の匂いが微かに残るベッドで眠りにつく。

 何も考えるな。そう自分に言い聞かせた結果、思った以上に早く眠りについてしまった。

 目を開けると、カーテンから微かに日の光が漏れている。

「ここは……」

 一瞬、大きなベッドで寝ている自分が今どこにいるのかわからなかった。

 そうか、黒崎さんの家に泊まったんだ。

 昨日のことを思い出す。

 私、昨日川口さんに襲われて、それで……。

「はぁ」

 深呼吸をした。昨日のこと、思い出したらまだ涙が出そう。

 だけど昨日よりも落ち着いていられる。

 ゆっくり眠れたから?時間が経ったから
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  • 運命の輪~愛してる~   彼女の思惑 2

     まさか彼女がうしろにいたなんて。 全然気がつかなかった。 身体が固まりそうになったけれど「なに?」 冷静に冷静に。蓮さんのアドバイスを思い出す。  それに今は優菜が隣にいてくれて良かった。「美桜は、話したいことなんてないんだけど」 優菜が代弁してくれた。優菜はこの間のこと知っているから。 真帆ちゃんに対して、前よりもさらに厳戒態勢だ。「優菜ちゃんには言ってないんだけど。私は美桜ちゃんに言っているの。とにかく、今日のゼミの授業が終わったら、そのまま少し残って。ああ、別に優菜ちゃんは残ってなくていいから」「何それ?私だって残るよ」「どっちでもいいけど。それじゃあ、またあとでね」 真帆ちゃんは自分の要件だけを伝え、すぐその場から立ち去った。「なに、あの態度。美桜、どうするの?」 今日はアルバイトも休みだ。 私は悩んだが、彼女と話したい気持ちもある。 真帆ちゃんを無視して、もしも行かなかったら、また何か嫌がらせをしてきそうだ。今度は私だけじゃなくて、優菜にも何かしてきそう。「私、残るよ。優菜は帰っていいから」「そんなわけにいかないよ。何言われるかわからないんだからさ、私も残るから」 巻き込みたくなかったから帰っていいなんて伝えちゃったけれど、優菜がいてくれた方が心強い。「ありがとう。助かる」「当たり前じゃん」 ゼミでの授業が終わり、そのまま教室に残る。 皆が帰り、真帆ちゃんと私たち二人だけになった。 「で、話ってなに?」 優菜が切り出す。 何を言われるのだろう、マイナスなことばかり想像をしていた。「美桜ちゃん、この間はごめんね」 そう言って彼女は私たちに頭を下げた。「えっ?」 思わず、優菜と顔を見合わせる。 あの真帆ちゃんが頭をさげて、ごめんなんて言っている。 彼女のことだから絶対謝らないと思っていたのに。「私、この間、黒崎さんを見たとき一目惚れしちゃって。美桜ちゃんの彼氏だってわかってたんだけど。どうしてもタイプで羨ましくて。だからって、美桜ちゃんに酷いことしちゃった。ごめんなさい」  彼女の言葉はまだ続く。「そう。羨ましかったの。美桜ちゃんが。あんなカッコいい彼氏もいて、仲の良い友達もいて。私は、上辺だけの友達しかいないし。だから、いじわるしたくなっちゃったっていうか。よく考えたら、私が悪かっ

  • 運命の輪~愛してる~   彼の心配/彼女の思惑

    ・・・ーーー 俺は自宅のマンションに帰り、さっきまで美桜と座っていたソファに一人座っていた。 本当は、美桜を帰したくはなかった。もっと一緒にいたい。離れたくない。 経験したことがない自分の気持ちに戸惑う。 真帆という子。 プライドが高そうだ。それに自分が美桜よりも劣っていることを認めないだろう。一応、軽く脅しはしたが。さぁ、どうしたものか。 スマホをポケットから取り出す。〈プルルルル……プルルルル〉 何回かコールを鳴らした後、相手から反応があった。<はい?もしもし?黒崎さん、どうしたんですか?>「夜遅くにすみません。相談したいことがあるんですが……」<黒崎さんが、私に相談って何事ですか?美桜に何かあったんですか?>「実は……」  俺は真帆という子にされた行為について、正直に相手へ話す。<はあ?マジあの子、許せない!>「美桜に変わったことがあったら教えてください。きっと一人で抱え込もうとするので……。どんなことでもいいです。あと、その真帆って子に気をつけてください」<わかりました。ご連絡ありがとうございます。黒崎さんってホントに美桜のこと大好きなんですね!羨ましいな> とりあえず、美桜に一番近い存在である子には連絡を入れた。 何も起こらなければいい。心配だけで終われば。 嫌な予感がする。言霊にしてしまうと、本当にその通りになってしまいそうだから。あえて言葉には出さなかった。・・・--- あの日、真帆ちゃんが私のアルバイト先に来て、蓮さんに告白をした日から何日か過ぎた。 大学で会ったら何を言われるのだろうと身構えていたが、廊下ですれ違っても、ゼミの講義の中でも何も触れてこない。話しかけて挑発してくることもなかった。 さすがにもう諦めてくれたよね。真帆ちゃんだって彼氏とかいるはずだ。 それに相手には困らないって自慢しているのを聞いたことがある。 蓮さんには迷惑かけちゃったけれど、しばらくしたら<あんなこともあったな>なんて、話せる時がくるのかな。 蓮さんとは毎日連絡を取り合ってはいるけれど、彼の仕事が忙しく、帰りが夜間になることが多いため、会えない日々が続いている。 私が「会いたい」って言えば、きっと蓮さんは無理しても会ってくれる。  でも蓮さんの仕事の邪魔はしたくはないし、社会人と付き合っているという自覚を持た

  • 運命の輪~愛してる~   誤解 3

    「急にあんなところを見せられたら動揺だってします。美桜が事前に話してくれていた相手だったから。俺がもっと気をつけるべきでした。すみません」 彼は俯いている。 どうして自分を責めるの? なぜ、私を責めないの?「どうして私を責めないんですか?怒らないんですか?冷静に判断できなくて、勝手に走って転んで。子どもでバカなのは私で。また蓮さんに迷惑をかけちゃったのに」 彼は悲しそうにふっと笑い「美桜は何も悪くないですよ」 そう言ってくれた。「俺の今の話、全部信じてくれるんですよね?」「当たり前じゃないですか!」「不謹慎かもしれないですが、美桜が妬いてくれたのは……。嬉しいです」 彼女が、蓮さんに抱きついているのを見たくなかった。 ヤキモチ、嫉妬、こんな感情が当てはまるのかな。 蓮さんに一方的に抱きつかれたことをしっかり聞いても、嫌な気持ちになる。  今まで恋愛したことがなかったからわからなかったけれど、私って実はすごく嫉妬深いのかも。「はい。蓮さんが他の女の子に触れられているだけで、すごく嫌だって思ってしまいました……」 素直に答えちゃったけれど、こんなことを蓮さん本人に話しても良かったのかな。重い女とか思われちゃう? 「俺は、美桜にしか興味がありません。信じてください」 私のことを見つめる真っすぐな瞳、目を逸らすことができない。「はい」「せっかく治ったのに、痛かったですよね?本当に他に痛いところはありませんか?」 彼が私の近くに寄って、再度ケガをしていないか確かめてくれた。 いつもの蓮さんだ。どうしてだろう。すごく愛おしく感じる。「蓮さんっ!」 私は彼に抱きついてしまった。「美桜?」「好きです。蓮さん……」「俺も好きですよ」  彼に抱きしめられ、頭を撫でられる。ずっとずっとこの空間が私の場所であってほしい。「バカでどうしようもないけれど。もっと大人になって蓮さんにずっと好きでいてもらえるように頑張ります。だから嫌いにならないでください。ごめんなさい」 私の言葉に蓮さんは少し笑い「そんなに可愛いこと言わないで下さい。これでも、自重しているんですよ?美桜にケガをさせてしまったから」 自重しているって、行動を控えているってことだよね。 私が悪いのに。 私は彼の腕の中から一旦離れる。 彼の肩に両手を置かせても

  • 運命の輪~愛してる~   誤解 2

     気持ちに足がついていけなくなり、転んでしまった。「痛いっ……」 最近、転んでばかりだ。 転んだのはアスファルトの上、せっかく治った膝から血が出ていた。 転んだまま、その場に座り込む。立ち上がろうとしたが、立ち上がれない。 幸い、夜遅い時間だったため、駅の近くでも歩いている人は少なかった。「どうして……」 息を整え、深く深呼吸する。 私、蓮さんから直接話を聞いていないのに。 また暴走しちゃったかも。好きな人が他の子に抱きつかれてるって、こんなに嫌な気持ちになるんだ。 抱きつかれている彼を見て、動揺して、見たくなかったから走り出して。 私、蓮さんをを信じているんじゃなかったの?「バカだな、私」 スマホが鳴っているのに気づく。 相手はもちろん蓮さんだ。 どうしよう。「もしもし?」<……。今どこにいますか?> 彼が珍しく息が上がっている。 走っているのかな。「わからないです」<そこから何が見えますか?目立つ建物とかありますか?>「私、蓮さんに会いたくない……」  まだ頭の中で整理ができていない。 彼のことを信じられなかった自分が悔しくて、きっと蓮さんは許してくれるかもしれない。だけど自分が心の底から浅はかでバカで嫌だ。 転んでしまっただなんて、惨めな姿も見られたくない。<……無理にでも会ってもらいます>「えっ?」 通話が切れたと思った瞬間、後ろから誰かに抱きしめられた。私の好きな香水の匂いがする。蓮さんだ。 彼はすぐ抱きしめるのをやめて「大丈夫ですか?転んだんですか?ケガ、見せてください」 彼は私の正面に行き、ヒザや腕を見てくれた。「痛かったですね。血が出てます。すぐに帰ってまずは洗い流しましょうか。立てますか?」 どうして蓮さんはそんなに優しいの?「立てません。一人にしてください」 私は俯いていたので、彼がどんな顔をしているのかわからない。「事情はあとで話します。一人にはさせません。立てないのなら……」「きゃっ」 彼は私を簡単に持ち上げ、抱きかかえる。 どこにそんな力があるのだろう。「重いので降ろしてくださいっ」「ダメです」 そう言った彼の表情は、私が見たことがないような厳しい顔をしていた。 彼はタクシーを拾い、気づいた時には蓮さんのマンションに着いていた。  無言の蓮さんに手を

  • 運命の輪~愛してる~   誤解 1

    「実は、相談したいことがあって」 真帆という子が胸の前で両手を組む。「どんなことですか?」「私、美桜ちゃんの親友なんですけど、美桜ちゃん、浮気しているんです。相手は同じ大学の子です。こんなに優しくてカッコいい彼氏さんがいるのに……」 彼女は目を潤ませた。「それを伝えたくて。これ、証拠の写真です」 彼女がスマホから見せたのは、美桜と男性が抱き合っている写真だった。 美桜が浮気なんてするわけがない。 作られたものだとすぐにわかった。 偽りだとわかっていても、美桜が違う男と抱き合っている写真を見ると妬けた。そんな自分を面白く感じる。 他人に興味などなかったはずなのに、美桜が俺を変えてくれた。「それ、作られたものですよね?解析してみればすぐわかりますよ」 彼女は俺の言葉にビクッと反応したかのように見えたが「ウソなんかじゃないです。信じてください」 目から涙を流していた。 すごい演技力だな。何をしたいのかわからない。目的はなんだ?「私、美桜ちゃんから彼氏さんの話を聞いて、すごく羨ましかったんです。それでこの間、優菜ちゃんと会っているところを見て。どうしてこんなに素敵な彼氏さんなのに、浮気なんてするんだろうって思っていて……」 何も答えず、彼女の話を聞いていた。同じ話を繰り返している。 いつまで聞いていればいいのだろう。「私なら浮気なんてしないのに、もっとあなたのことを大切にできるのにって。私、実はあなたに一目惚れをしてしまって。美桜ちゃんからもよく自慢されてたから。内面もすごく素敵な人なんだなって。余計、好きになっちゃって」 つまらない話に、ふぅとため息をついてしまった。「すみません。俺、美桜のことを信じているので。写真を見せられても、キミから何か言われても、何も応えられません」 彼女が一瞬、目線が逸れた気がした。「私、好きになってもらえるよう頑張ります。あなたのことが好きなんです」 そう言って、抱きつかれた。 こんなに積極的な子、久しぶりだな。社内でもたまに告白はされるが、ここまでのことはさすがにされない。学生だから、まだ社会に出ていないからこんな大胆なことができるのか? 無言で彼女の肩を掴み、離そうと思った時ーー。「蓮さん?」 うしろを振り返ると、美桜の姿があった。 ・・・--- 私はアルバイトが終わって、蓮さ

  • 運命の輪~愛してる~   プライド 5

    「はあ?」 思わず優菜が声を上げたが「大丈夫。行こう?」 私たちはその場から離れる。「ああ、ムカつく!なにあれ?」 空いている教室で優菜と話す。「どうするんだろうね。どうやって黒崎さんと会うつもりなんだろう。連絡先だって知らないのに」「わからない。だけど、私は負けない」  頭を抱えそうになるけれど、蓮さんは私のことが好きだと言ってくれている。それに人を簡単に傷つける彼女は、きっと蓮さんは嫌いなタイプの子だ。可愛いからってすぐに好きになるような男の人ではない。蓮だってしばらく恋愛はしていなかったって言っていたし、社内からモテるってこの前言われてた。真帆ちゃんに騙されるわけがない。 大丈夫、大丈夫。落ち着こう。 そんな言葉を心の中で繰り返した。 次の日、いつもと変らない時間を送っていた。 蓮さんには昨日の真帆ちゃんの「奪っちゃう」発言は相談していない。 毎日問題ごとに付き合わせたくはないから、黙っていた。 まだ実際に何かされたわけではないから。 言葉だけの嫌がらせかもしれないよね。 優菜と二人で学内を歩いていた。「最近、アルバイトの方はどう?あれから大丈夫?」 川口さんの事件以来、優菜も心配をしてくれている。「うん、大丈夫!それに今日は、蓮さんが迎えにきてくれるっていうから安心なんだ」  急遽、他のスタッフさんが風邪を引いてしまいしばらく出勤ができなくなり、その代わり私が時間を延ばして勤務することになった。店長は謝ってくれたが、他に都合のつく人がいなかったらしい。  蓮さんに帰りが遅くなることを伝えると<その時間であれば、迎えに行けると思うので。行きますね。待っていてください> そう言ってくれた。「じゃあ、安心だね」「うん」・・・---「真帆!」 彼女は真帆と呼んだ人物の近くに行き、先ほどの彼女たちの会話を伝えていた。「へー。そうなんだ!じゃあ、あの子のアルバイト先に行けば、あの人と会えるんだね。わかった。ありがとう。これ、お礼だよ!」 真帆と呼ばれた子はご機嫌で、バッグからとあるものを渡す。「これ韓国で発売されためっちゃ人気の限定品リップじゃん。欲しかったやつ!ありがとう」 友人と思われる人物は、真帆から渡された物を躊躇なくカバンに入れた。「またお願いね!」「もちろん、真帆のためだもん」 

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